
Falco Feedsは、オープンソースに焦点を当てた企業に、新しい脅威が発見されると継続的に更新される専門家が作成したルールにアクセスできるようにすることで、Falcoの力を拡大します。

CTO、VPoEの皆様は、自社のエンジニアがオープンソースソフトウェア(OSS)を活用し、最先端のシステムを構築していることを誇らしく感じているかもしれません。
しかし、その「技術への信頼」の裏側で、専門人材が本来取り組むべき自動化や基盤改善ではなく、日々のアラート対応や運用調整に多くの時間を費やしているとしたらどうでしょうか。
本稿では、コンテナ時代のセキュリティ運用において見落とされがちなエンジニアの工数負荷と、経営が投資すべき「攻めの防御」について解説します。
変化する開発現場と、OSS運用を「活かしきる」ための設計
現代のクラウドサービスにおいて、コンテナ技術の活用はもはや標準となっています。OSSのランタイムセキュリティツールである「Falco」は広く普及し、OSSを基盤としたセキュリティ運用も多くの開発現場で実践されてきました。
OSSは高いカスタマイズ性を備えており、エンジニアの技術力向上や、現場主導の改善を力強く後押ししてきました。一方で、組織としてOSSを安定的かつ持続的に活用していくためには、技術力だけでなく、運用設計や体制づくりも重要になります。
OSS中心の運用は、小規模な環境では十分に機能します。しかし、システム規模やチーム数が増えるにつれ、論点は「検知できるか」から「検知結果を継続的に運用し続けられるか」へと移っていきます。
これは、OSSの良し悪しの問題ではありません。組織規模の拡大に伴い、専門人材の工数コストが無視できなくなるという、経営上の構造的な課題です。
1. 運用規模の拡大に伴って顕在化する「セキュリティ運用負荷」
Falcoは、不審な挙動を検知できる強力なツールです。一方で、環境やワークロードが増えるにつれて、検知結果の取捨選択やルール調整は、運用上の重要な課題となります。
日々届く数百、数千のアラートを、専門性の高いエンジニアが確認し、ルールを調整する。そのプロセス自体は、運用を支えるうえで欠かせないものです。
しかし、経営視点で見れば、問うべきは「対応できているか」だけではありません。
その専門人材の時間を、どこに使うべきか。
この観点に立つと、アラートの確認や調整に多くの時間を使い続ける運用には、見直しの余地が生まれます。
2. AI時代のクラウド環境における「対応スピード」の重要性
現代のクラウド環境では、コンテナやKubernetes、クラウドアイデンティティ、AIワークロードなど、保護すべき対象が急速に広がっています。さらに、攻撃者もAIを活用し、脆弱性の公開からわずか数時間で悪用に至るケースが増えています。
このような環境では、検知後の対応スピードや調査の効率性が、セキュリティ運用の質を大きく左右します。OSSによる可視化は重要な一歩ですが、変化の速い実行環境では、検知結果を確認するだけでなく、いかに素早く判断し、次のアクションへつなげるかが運用設計上の重要な論点になります。
「Sysdig 2026年度版 クラウドネイティブセキュリティおよび利用状況レポート」では、多くの組織が人手に依存したセキュリティ運用の限界に直面し、クラウド環境を守るために、より高速な検知・対応へ移行していることが明らかにされています。
特に、AIを悪用した攻撃がスピードと規模を増す中、アラートを受けてから人が確認し、手動でトリアージを行う従来型の運用では、攻撃の進行に追いつくことが難しくなっています。
実際に同レポートでは、70%以上のセキュリティチームが振る舞いベースの検知を採用し、高精度なランタイムアラートによってクラウド環境の91%を保護していることが示されています。また、検知時に疑わしいプロセスを自動的に停止する仕組みを導入する組織は、前年比で140%増加しています。
これは、クラウドセキュリティの前提が「人がアラートを確認してから対応する」運用から、「システムが瞬時に検知し、必要に応じて自動的に制御する」運用へ移りつつあることを意味します。
アラートを受信してから人手で確認を始める運用では、攻撃がすでに進行している可能性があります。対応の遅れは、そのまま調査負荷や復旧負荷となり、SRE、DevSecOpsエンジニア、プラットフォームエンジニアといった専門人材の時間を奪います。
だからこそ、これからのクラウドセキュリティでは、検知の精度だけでなく、判断と対応をどこまで自動化できるかが重要になります。専門人材がすべてのアラートを手作業で追うのではなく、仕組みとして即時に検知・判断・制御できる運用基盤を整えることが、攻撃スピードに対抗するための現実的なアプローチです。
本来、価値創造に集中すべき「専門エンジニア」とは
日々アラート対応や運用調整を担っているのは、一般的なアプリケーション開発者ではありません。
高度な専門性を持ち、組織の信頼性と成長を支える中核人材である、SRE、DevSecOpsエンジニア、プラットフォームエンジニアです。
これら3つの役割は単なる運用要員ではありません。自動化、標準化、次世代アーキテクチャの設計を通じて、ビジネスのスケールを支える存在です。だからこそ、その時間と知見の使い方は、組織全体の生産性に直結します。
SRE(Site Reliability Engineer)
SREは、システムの安定稼働と信頼性に責任を持つ役割です。本来のミッションは、障害対応そのものではなく、改善を前提とした自動化や運用の高度化にあります。
しかし現場では、セキュリティアラートの調査や異常挙動の確認といった日常業務に、多くの時間を割かざるをえないケースも少なくありません。
DevSecOpsエンジニア/セキュリティエンジニア
DevSecOpsエンジニアやセキュリティエンジニアは、組織全体の防御方針やルール設計を担う専門人材です。
OSSを活用した柔軟な運用は大きな強みです。一方で、ルール調整や検知結果の整理に時間が割かれ続けると、本来注力すべき高度な脅威分析やセキュリティ設計へ十分に時間を使えなくなる可能性があります。
プラットフォームエンジニア
プラットフォームエンジニアは、全社共通のクラウド基盤や開発基盤を設計・運用する役割です。
限られた人数で大規模なインフラを支えるためには、再現性の高い運用と、効率的なツール選定が不可欠です。基盤の安定性を保ちながら、いかに運用を標準化・省力化できるかが重要なテーマになります。
彼らが本来力を発揮すべきなのは、自動化を通じて開発と運用の生産性を高め、次の成長を支える基盤を設計することです。
専門人材を単純な監視や調整作業から解放し、より高付加価値な領域に集中させることは、人材投資の効果を最大化するうえで重要な経営テーマだと言えます。
専門エンジニアの知見を、価値創造へ振り向ける「Sysdig Secure」
ここまで述べてきた課題は、単なるセキュリティツールの問題ではありません。専門人材の時間と専門性を、どこに投資するかという経営判断の問題です。
この論点に対し、専門エンジニアの知見を事業成長へ再配分するための基盤として位置づけられるのが、商用プラットフォームである「Sysdig Secure」です。Sysdig Secureは、FalcoをはじめとするOSSの強力な検知能力を土台にしながら、クラウドネイティブ環境に求められる可視化、優先順位付け、自動化を統合的に提供します。
一言で表すなら、Sysdig Secureは、OSSの検知能力を組織的に運用できる形へと拡張し、専門エンジニアの判断力をより高付加価値な業務へ振り向けるための、クラウド時代のセキュリティ運用基盤です。
Sysdig Secureがもたらす具体的な価値
1. 知見を活かすための「優先順位付けの自動化」
Sysdig Secureは、独自の「Risk Spotlight」機能により、脆弱性を含むパッケージが実行中のワークロードで実際に利用されているかを特定します。さらに、インターネットからの到達可能性などの環境コンテキストも加味することで、単なる脆弱性の深刻度だけではなく、実行環境における実際のリスクに基づいて、対処すべき優先順位を明確にします。
これにより、机上のスコアでは膨大に見える脆弱性を、本当に対処すべき少数へと絞り込むことができます。
専門エンジニアは、広範な調査作業に時間を奪われるのではなく、判断、設計、改善といった本来の業務に集中しやすくなります。
2. 短命なコンテナ環境でも「調査可能性」を確保
Sysdig Secureは、異常を検知した瞬間のコンテナ内の挙動を自動的に記録します。
これにより、コンテナが消滅した後でも、当時何が起きていたのかを調査できます。短命なコンテナ環境においても、証跡をもとにした分析が可能になるため、SREやセキュリティエンジニアは、再現の難しい事象に長時間向き合う必要性を減らせます。
結果として、調査のための工数を抑えながら、分析や改善により多くの時間を割けるようになります。
3. ポリシーに基づく自律的な防御
Sysdig Secureは、定義したポリシーに基づき、不審な挙動を示すコンテナを自動的に制御できます。
人手による介入を待たずに、リスクの高い挙動を検知し、必要なアクションへつなげることで、セキュリティ対応は「人手に依存する運用」から「仕組みによって支えられる運用」へと進化します。
これは、単にアラートを減らすことではありません。専門人材が判断すべき領域と、仕組みに任せるべき領域を切り分けることで、セキュリティ運用全体の生産性を高める取り組みです。
Mambuの実践事例:アラートノイズ削減が生む運用効率化とROI
ドイツ・ベルリン発のクラウドネイティブ・バンキング基盤を提供するMambuは、Sysdig Secureの導入によって、セキュリティ運用のノイズ削減とエンジニアの生産性向上を同時に実現しています。
Mambuが提供するプラットフォームは、SaaS(Software as a Service)として提供されており、フィンテックスタートアップや通信事業者から、老舗のティア1銀行まで、幅広いユースケースに対応しています。現在、Mambuは世界中で2億3,000万人以上のエンドユーザーにサービスを提供しています。
Mambuは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)にまたがるマルチクラウド環境で、Kubernetesを活用した金融機関向けのコアバンキングプラットフォームを運用しています。規制要件の厳しい金融領域では、セキュリティを強化しながら開発スピードを落とさないことが重要な課題でした。
Sysdig導入以前は、アラートの信頼性に課題を抱えていました。修正済みの脆弱性が再び検出されたり、ファイル整合性に関する通知が大量に発生したりするため、セキュリティチームはアラートの仕分けに多くの時間を費やしていました。その結果、エンジニアは本来取り組むべき基盤改善やサービス開発ではなく、実際のリスクにつながりにくい調査に追われる場面が生じていました。
Sysdig Secureの導入により、Mambuはランタイムの実態に基づいて、本当に対応すべきリスクを優先順位付けできるようになりました。実行中のワークロードに実際に影響する脆弱性や、対応が必要な挙動を明確にできるため、理論上のリスクと実際のリスクを切り分けやすくなります。
この取り組みの結果、Falcoを活用したルール調整によって、誤検知アラートは約95%削減されました。再発する脆弱性も同じく約95%減少しており、エンジニアが同じ問題を繰り返し調査する負担を大きく軽減しています。さらに、エージェントのリソース消費も50%超削減され、セキュリティ運用とプラットフォーム運用の両面で効率化が進みました。
実際に、Mambuは高深刻度のNGINX Ingress Controllerの脆弱性への対応において、Sysdig Secureを活用し、影響を受けるバージョンと対象クラスターを特定しました。20を超えるクラスターが影響を受けていましたが、実行環境に基づく可視化によって関係チームが迅速に連携し、所定のSLA内で修正を完了しています。
MambuにおけるSysdig Secureの活用については、「Mambu Secures 230 Million Banking Customers」で詳しく紹介されています。
この効果は、単なるアラート削減にとどまりません。アラートの信頼性が高まることで、セキュリティチームは本当に重要な脅威に集中でき、エンジニアは本来注力すべきでない調査対応から解放されます。SOC 2 Type IIのような監査対応でも、日常運用のなかで整理されたセキュリティ情報を活用できるため、証跡収集や確認作業の負荷を抑えやすくなります。
経営の視点で見れば、Sysdig Secureの価値はツール費用の削減ではありません。本質は、誤検知対応や再発脆弱性の調査、監査準備といった運用負荷を減らし、限られた専門人材の時間を、より高い価値を生む業務へ振り向けられる点にあります。
Mambuの事例が示すのは、OSSやクラウドネイティブ技術を活用するほど、単に「検知できる」だけでは不十分になるということです。重要なのは、検知結果を信頼できる形で運用し、優先順位を明確にし、専門エンジニアが本来の価値創造に集中できる仕組みを整えることです。
このように、守りの運用に専門人材を固定するのではなく、セキュリティを事業成長の基盤へと変える考え方は、海外企業だけのものではありません。国内企業においても、運用の標準化やクラウドネイティブセキュリティの可視化を目的として、Sysdigの導入が進んでいます。
特に、クラウドネイティブな事業をいち早く展開する企業ほど、自前運用の限界を早期に見極め、専門人材をサービス開発や基盤高度化へ振り向ける動きが見られます。
たとえば、ログラス様やみんなの銀行様といった先進的なクラウド活用企業でも、Sysdigによるセキュリティ運用の標準化が進められています。
- AWSのコンテナ環境をSysdig Secureでコンプライアンスから脆弱性まで保護。創業から素早くセキュリティを実装(株式会社ログラス様)
- 個別のセキュリティ運用から脱却、みんなの銀行の守りを固めるSysdigのクラウドネイティブセキュリティ(みんなの銀行様)
経営判断としての「専門人材の価値を引き上げる選択」
エンジニアがOSSに向き合い、改善を重ねていく姿勢は、組織にとって大きな価値です。
だからこそ、その専門性を日々の仕分け作業や調整業務に固定化してしまうのではなく、より高い付加価値を生む領域へ振り向けることが重要になります。
有償ツールの導入は、単なるコストではありません。それは、専門人材の時間と集中力を取り戻し、事業成長に直結する取り組みへ振り向けるための戦略的な投資です。
防御そのものを厚くするだけではなく、限られた専門人材を価値創造に集中させること。それこそが、本稿の冒頭で述べた「攻めの防御」の本質です。
貴社のエンジニアが、より高い付加価値を生む業務へ集中できる環境をつくる。OSS活用と事業成長を両立させたい組織にとって、Sysdig Secureは有力な選択肢となるでしょう。
問うべきは、「OSSか、商用ツールか」ではありません。限られた専門人材の時間を、運用維持と価値創造のどちらに投資するのか。それが、いま経営に突きつけられた本当の問いです。